刺絡(しらく)療法
刺絡(しらく)とは —— 気血の巡りを整える古い知恵
身体の中に滞った「瘀血(おけつ)」を整え、
気と血の巡りを穏やかに取り戻していくための施術です。
刺絡は、何千年も前から続く伝統的な方法で、
中医学が大切にしてきた3つの要素 ―― 気・血・水 ―― のうち、
とくに「血(けつ)」の停滞を整えることを得意とします。
血の巡りが滞ると、重だるさ、冷え、慢性的な疲れ、
原因がはっきりしない不調につながることがあります。
こうした状態に対して、刺絡療法(刺絡鍼法)は
最も相性が良いとされるアプローチです。
大きな刺激ではなく、
必要な場所にだけ小さな働きかけを行うことで
身体が本来持つ巡りの力を静かに呼び覚まします。
井穴(せいけつ)の刺絡 —— 身体のスイッチを整える

爪のすぐ脇にある小さなツボを「井穴(せいけつ)」と呼びます。
ここは身体の出口のような場所で、滞った熱や巡りの悪さを整えるのに適したポイントです。
井穴に刺絡を行うことで、全身のバランスを大きく動かすことができます。
自律神経の乱れを整えたり、アトピー性皮膚炎、風邪の発熱、扁桃腺炎など、いわゆる“炎(えん)”のつく症状に、古くから良い効果があるとされてきました。
現代でもその働きは変わらず、
「小さな一点から、全身の巡りを整える」
そんな東洋医学らしい施術のひとつです。
皮膚刺絡 —— コリや張りを軽くするために

肩・腰など、強いコリや張りがある部分には “皮膚刺絡” を行うことがあります。
表層の毛細血管に滞りが生じている場合、その瘀血を少しずつ整えていくことで、重さや圧迫感がすっと抜けるように楽になる方が多い施術です。
鍼では届きにくい “表層の滞り” にアプローチできるのが特徴で、
・辛い張り
・慢性的なコリ
・動かしにくさ
などに対して補助的に使うと、とても良い働きをしてくれます。
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【細絡(さいらく)刺絡】

皮膚の表面に、糸のように細く浮き出る血管があります。
中医学ではこれを 細絡(さいらく) と呼び、
実は“氷山の一角”のように、その下に 瘀血(おけつ) が潜んでいるサインでもあります。
細絡刺絡では、この細い血管を正確に捉え、
滞りの原因となっている瘀血を無理なく手放していきます。
身体の奥に溜まっていた重さがふっとほどけ、
巡りが戻る感覚を実感される方が多い施術です。
・刺絡は鍼灸施術の一環として行うため、刺絡のみの料金設定はありません。
・必要な場合に限り、患者様の同意を得たうえで行います。
・刺激は最小限で、むやみに強く行うものではありません。
法的な位置づけ
刺絡療法は現在、法律に基づく鍼の手技として認められています。
昭和22年に制定された「あん摩・はり・きゅう・柔道整復等営業法」の整備により、
禁止事項から「瀉血(刺絡)」が削除され、合法的に施術が行われています。
また、2005年6月には内閣総理大臣(当時:小泉純一郎氏)へ提出された質問に対し、
政府から 「刺絡鍼法は、法律に定められた鍼の手技に含まれる」 と正式に回答がなされています。
法律上・医療上の根拠にもとづいて施術しておりますので、どうぞご安心ください。




